赤ちゃんとの生活はいかがお過ごしですか? 最近、疲労感や不安感、赤ちゃんに対する過度の心配等で、育児・家事が上手く行かないと自分を責めたりしていませんか?本来の自分でない感じがするのであれば、産後の心の病気と思われます。本来の気持ちに戻るためには援助と支援が必要です。
産後の心の病気は様々な要因が関係しています。妊娠中は性腺ホルモン(エストロゲン等)が非常に増加しますが、出産後は急激に減少します。性腺ホルモンは気分を調節する脳内神経伝導物質(セロトニン等のモノアミン)に作用を及ぼすので、ホルモンの増減に敏感な女性が産後の心の病気になりやすいとも言われています。他の要因として、早産・難産で過度に心配した場合や産後の睡眠時間の減少や1日24時間の赤ちゃんの世話、家事・育児の増加、母親という役割を重圧と感じる場合もあります。キャリアを重ねてきた女性が出産を機に仕事を中断せざる負えないことに焦りを感じることもあります。また、家庭内葛藤や幼い時に自身が複雑な家庭環境で育った場合も産後のこころに影響を及ぼしてくることがあります。このように様々なストレスが関連していると考えられます。
◆ マタニティーブルーズ
マタニティーブルーズは出産女性の20~30%に起こり、出産直後から1週間頃までに症状が表れます。これは病気ではなく、数時間から数日といった一過性のもので、通常は治療の必要はありません。しかし、産後うつ病に移行しないか注意が必要です。症状には次のようなものがあります。
◆ 産後うつ病
産後うつ病は出産女性の10~13%に起こり、産後3ヶ月頃までに抑うつ症状が表れ、2週間以上持続します。産後うつ病にかかると大変つらく、育児も困難な状態になっていきます。そして、放っておくと母子関係や子供の情緒面の発達に障害をもたらす事がありますので、我慢せずご相談ください。症状には次のようなものがあります。
◆ 産後うつ病は見逃される事も多く、その要因としては次の事が考えられます。
◆ 産後うつ病の予防
◆ 治療法
まずは休養して充分な睡眠を取りましょう。そして心身の負担を軽くしましょう。だんな様をはじめ家族のサポートや周囲に頼ることも必要です。サポートを受け、だんだんと良くなっていく場合もありますが、カウンセリング等の精神療法や漢方薬・抗うつ剤・抗不安薬などの薬物療法が必要な場合もあります。抱え込まず、我慢せず、気軽に当院・女性メンタルヘルス外来にご相談下さい。